ついに合格しました

 

平成30年度の司法書士試験筆記試験。

ついに合格しました。

 

H25 25-19(基準点28-27) 1次2次足きり

H26 25-26(基準点26-24) 1次足きり

H27 29-25(基準点30-24) 1次足きり

H28 29-30-22.5(基準点25-24-30.5)  記述足きり

H29 28-27-38.0 → 203.0点(基準点25-24-34.0 合格点207.0)  総合落ち

H30   29-28-42.5 → 213.5点(基準点26-24-37.0 合格点212.5) 合格

 

昨年は4点差に泣きましたが、今年はわずか1点差での合格でした。

 

本当に辛かったです。

確か一番最初に勉強を始めたのは平成13年6月。LECは「カセットテープ」での通信コースでした。

当時から現在までフルタイム(7時台-20時)の会社勤めです。早出や残業もノルマもいっぱいありますし決算期は怒涛の忙しさです。勉強始めてお試し受験2回程度の後は挫折しては再開の繰り返し。仕事が多忙だったり身体を壊したり色々ありました。

本格的に勉強再開したのが平成25年度向けコースからでその後の成績は上記の通りです。

いつの間に商法が会社法になり、登記済証が登記識別情報になり、僕はだらだら勉強を続けている超長期のベテラン受験生になっていました。

ただ民法会社法や登記法等の知識は仕事にも大いに役立ち何度も僕や同僚を助けました。ある日会社に裁判所からの特別送達が届いたりしたときも民事執行法・供託法の知識で難なく凌げました。だから勉強は無駄では無かった、でも合格しなければ「法律にちょっと詳しいおじさん」のままなのですよね・・・。

 

択一講義はLECと早稲田セミナーの中上級講義を受講し続けていましたが、テキストに図表が多いLECの講義がメインでした。

仕事が終わったら疲れて自主的に独学などできないので、講義を受講することで無理やり学習スケジュールに乗った形です。

主に根本先生の図表中心テキストを使用した講義「パーフェクトローラー講座」「択一ターゲット攻略講座」などを受講しました。択一の論点暗記で根本先生の小話込みの部分は記憶に残り易かったです。起訴前和解や支払督促の管轄とくれば「あぁ草加市の簡裁は近いよね」みたいな。受験生思いの根本先生には本当に感謝しています。

 但し合格した最後の年だけは海野先生の講義「実践力Power Up講座」を受講しました。「実践力」を受講したのは、根本先生による図表中心テキストが既に手元に溢れかえっていたためで、特に理由があったわけではなかったのですが、海野先生が講義中に挟む司法書士実務のお話で折れかけたモチベーションを再構築できて、結果的に本当に有難かったです。

・・・後から思い出したので追記します。

 

実は一番最初に司法書士試験の勉強を始めたのは平成3年の大学生の頃でした。そしてその後社会人になっても数年は勉強していたのです。当時のLECは確か「15ヶ月コース」でなく「20ヶ月コース」でテキストも「ブレークスルー」でなく「オールマイティ」という名前だった気がします。もちろん「カセットテープ」の通信コースですね。

 

20ヶ月の講義を受け切ったのか、結局本試験を受けたのか、そもそも何で司法書士試験を目指し始めたのかも記憶が定かではありません。大学在学中に取得した宅建(←LECの対策講座を受講しました。平成2年合格)の延長線上だったのかもしれません。ちなみに同時期にやはり司法書士試験の勉強をしていた学内の友人の1人がなんと在学中に合格したのは覚えています。

 

仕事柄、不本意なセールスを組織として強いられることはある程度仕方ないとはいえ、あまりにそればかりでウンザリしていたので真にお客様の役に立ちたいという思いと、司法書士試験勉強の知識が仕事にも役立ったこと、それが社会人になってからの試験を目指した理由でした。 

 

都合、平成3年頃、平成13年頃、そして平成24年頃の3度に亘り勉強開始の時期があったことになります。そうすると途中脱落した時期もあるものの平成30年の合格まで足掛け四半世紀、司法書士試験に関わっていたことになります(我ながら恐ろしい・・・恥ずかしくて人には「10年かかりましたよ~」とお茶を濁しています。)まさに半生を賭けた挑戦だったのです。

 

出題ミスでお馴染み「マンゴー王国」が登場した平成21年の記述式は本試験会場で解いた記憶があるので、実は冒頭に掲げた6回+最初のお試し2回程より多くの回数を受けていますね。全部で何回受けたかは忘れてしまいました。

 

幾度も司法書士試験を諦め、せめて何か資格を取ろうと思って平成20年に日商簿記検定1級、平成22年に行政書士試験・管理業務主任者試験・マンション管理士試験に合格しています。これらもLEC(日商簿記はTAC)の対策講座を受講しており、どれだけ予備校の売上に貢献したか分りませんね。うだつの上がらないサラリーマンが逆転を狙って、あるいは自己肯定感を得るために、いわゆる資格商法のカモになるという良い見本になってます。でもその知識は無駄にならず、上記のように様々な場面で活かすことができました。

 

講義は音声をダウンロードして通勤中や始業前・終業後の喫茶店で受講する通信講座が主で、通学することはできませんでした。自宅では疲れて寝るだけ。復習の時間は殆ど取れずでした。

 

よく過去問を何回も回して覚えてからがスタートラインと言われるけれど、インプット講義中に1回転+4~6月の直前期に2回転が限界でした。しかも仕事の始業前や終業後に5肢択一を解く気力などなく、解いたのは「オートマ過去問」の肢別過去問だけです。付箋だらけの「オートマ過去問」はいまだに捨てることができません。

 

記述は最後まで(というか今も)苦手で、今回も絶対失敗したと思っていました。

不動産は概ね書けましたが申請情報以外は空欄。商業は無効事由が見つからず辻褄の合うように申請情報のみひたすら書いただけ。昨年「解散」が出たため今年は出るはずが無いとタカをくくってチェックしていなかった「会社継続」が出て冒頭から心が折れてました。それでも内心今年もダメだと泣きそうになりながら書き続けたのが結果として良かったんだろうと思います。

記述講義は早稲田セミナーの「記述式対策講座(姫野先生)」の受講が最も役立ったと思います。いわゆる「姫野解法」は記述で悩んでいる方にお勧めです。多くの人がほぼ白紙と言われている商業記述第37問裏面まで書き切ることを目指せたのは姫野先生のお陰です。

 

いまだに合格したのは何かの間違いなのではないかと思うほどです。

仕事が忙しいフルタイム勤務兼業受験生の僕が合格できたのは、膨大な長さの受験期間と膨大な額のお金(予備校代)の投下があってこそです。あまりこれから合格を目指される方の参考にはならないですね。

 

発表日当日のこと、一生忘れないと思いますが記憶が鮮明なうちに追記しておきます。

 

記述で失敗して不合格を確信し、来年度向けの講座を受講するぐらいでしたが、合格発表が気にならないといえば嘘です。9月中旬ごろから何かの手違いで法務省HPに合格発表がフライングでアップされてないか何度もアクセスしてました。

 

迎えた9月26日はもちろん上期末の超繁忙期でした。下でも書いてますが仕事中に試験のことが脳裏に過ぎるようでは仕事でミスをしてしまうので極力忘れるようにしていました。そのうち本当に仕事でバタバタして忘れていて、フと気づいたらなんと午後4時を過ぎていました。

 

急いで社内の外接可能PCの前に座り法務省HPにアクセス…。

「まぁ、無いよな」と内心で呟きながら大阪ブロックのPDFを開いたら、目に飛び込んできたのは自分の受験番号!

 

背広のポケットに忍ばせた受験票と画面を何度も何度も見返しました。身体がカッと熱くなるのを感じました。PCの前で腰が抜けそうになっているのを悟られないうちにプリントアウトして自席に戻りました。

 

あまりに信じられなくて隣の同僚に「これ、この番号だよね」と聞き、それが会社の同僚に自分が司法書士試験を受験していたことを初めて喋った瞬間でした。同僚は喜んでくれました。自席の周りだけ盛り上がりの輪ができていたので遠目には何のことか分らなかったかもしれません。

 

その後上司にも告げ、その日は早めに仕事を上がって法務局の掲示を見に行く許可を取り、雨の中タクシーを飛ばして大阪法務局へ向かいました。HPの画面ではなく実物を見たかったのです。タクシーの運転手さんと「今日はとある国家試験の合格発表だ」と珍しく世間話をするほど舞い上がっていました。

 

大阪法務局前に着いたのは午後8時近く。てっきり人だかりができているかと思ったけれど誰もいなかったです。思いのほかサイズの小さい紙で張り出してありました。たかだか50数名ですからね。雨の中ずっと自分の番号を穴の開くほど見ていました。雨で携帯写真が撮れないので自分の目に焼き付けておこうとずっと。。。

 

そしてその場から実家の両親に電話をしました。両親は喜んでいましたが半信半疑でしたね。自分自身信じられなかったくらいだしさもありなんと思います。両親も僕も成績通知が届くまでは確信が持てなかったのです。

 

兼業受験生は日中仕事をしているので気持ちの切替がとても難しく、いかに気持ちを切り替えて勉強を日々重ねてゆくかが最も重要なポイントとなると思います。

 ノルマ未達を明日の営業会議でどう言い訳すれば・・・

 たった今ミスに気づいて朝一番でお客様に謝罪に行かないと・・・

 あと100万売上が足りない、上司に詰められる・・・

 納期が明日なのに全然終わってない・・・

そう思いながら残業で心身ボロボロになって会社を出て、あるいは4時間位しか寝てないなか早朝会社に出勤する途中で、目を擦りながらいつもの喫茶店に辿りついた途端に「取得条項付新株予約権の取得と引換えにする株式の発行には資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面が必要で・・・」「占有移転禁止の仮処分は掲示板で公示だけど、建物収去土地明渡請求権保全のための処分禁止の仮処分は登記で・・・」と受験勉強モードに切り替えなくてはなりません。

一方で・・・ 

 あれ?包括遺贈は受遺者が相続人以外でも 農地法の許可いらないんだっけ・・・。

    会社法322条1項の種類株式のやつなんだったっけ・・・

・・・なんて仕事中に脳裏を過ぎっては仕事でミスをしてしまいます。気になるからと六法(追記:六法について。テキストの記載が充実しているので、邪道とは思いますが僕は紙の六法を使わず、iPodの模範六法アプリ(物書堂さん)を専ら使っていました。普段ポケットに忍ばせておけば電車内でも素早く条文を確認できます。恥を忍んで正直に言えば「特別研修」の時に過去最も多く紙の六法を開きました。)やテキストを会社の机に忍ばせるのも避けるべきです。仕事中は試験のことを忘れて仕事に集中し、仕事が終わったら仕事のことを忘れて試験に集中するのが兼業受験生の勘所になります。

 

「どんなに仕事が辛くても会社を出たら『自分は司法書士試験の受験生である』という意識を強く持ち続けること」凡人の僕にはそれしかできませんでした。

 

とはいえ心も身体も一つですから、これは正直かなりキツい・・・。

 

 

 

 

 これから口述試験、最終合格、新人研修と続いていきます。

今後どう人生を展開させていくのか、会社員と司法書士の両立ができるのか有資格者として社内で資格を活かすのか、まだよく分かりません(両立は依頼応諾義務や事務所設置義務の観点から難しいっぽい)。ともあれ今は疲れきっているので口述試験で頻出だという司法書士法第2条の条文を呟きながらゆっくりしたいです。

そして定宿のスタバやドトールの店員さんはじめ、友人、実家の家族、勉強生活を支えてくれた全ての方々にただただ感謝です。

 

本当にありがとう。

これからもがんばります。

 

 

司法書士法第2条

司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」