調査士試験出願しました

 昨日、令和2年度土地家屋調査士試験の出願をしてきました。何年もかけた司法書士試験と異なり、調査士試験は無謀にも一発合格を目指しています。その理由は「合格点を取るために一点集中してゆく受験勉強」に五十路を迎えようとしている心身が耐えられなくなってきたことです。資格試験はこれで卒業し、早く実務の世界に入って行きたいというところ。
 しかしこの試験、そんなに甘くないというのを痛感しています。合格するには択一は約9割の出来、書式も約7割の出来が必要です。過去問は一応一通り回したのですが、始まったLECのファイナル答練はなかなか厳しい成績です。あと2ヶ月でどこまで仕上げられるか、正直雲行き怪しいですが頑張ります。

  受験は苦しいけど「勉強できる」「受験できる」というのは実は幸せなことです。昨今のコロナ禍で平穏な日々の有難みを嫌というほど痛感しています。平穏な日々を過ごすには自分自身や肉親の健康状態、勤めている会社の仕事の状態など幾つかの幸運が重なる必要があります。(平成29年度の司法書士試験は直前にまさかの転勤があり仕事が繁忙を極め、貴重な直前期をほぼ無勉強で迎えたせいか無念の結果でした。)本試験まで公私とも平穏に過ごせることを祈りたいです。

 出願した日は折りしも改正司法書士法の施行日でした。

 日司連のHPには会長声明が掲載されています。「法律事務の専門家として国民の権利を擁護し,もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とすることが明らかにされるに至った。」ということで司法書士業界はより襟を正しつつ、さぞや盛り上がって行くことだろうと信じます。僕も将来、斯業界の末席に加われたらと期待に胸が膨らむ思いです。

 ただ「法律事務」という文言を拡大解釈するのは要注意です。非弁活動を禁じる弁護士法第72条にも同じ文言が使われているからです。

司法書士法第1条

司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

弁護士法第72条

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 全くの憶測ですが、司法書士法改正に当たり、事前に日弁連との間では話がついている筈で、この改正を容認した彼らが重視したのは第1条の「この法律の定めるところによりその業務とする」の限定文言の筈です。この使命規定において司法書士は「あくまで司法書士法が許容する範囲内での法律事務」の専門家ですよ、と言っているのです。もちろん「法が許容する範囲」といってもその業務は広範な領域に及んでいるわけですが。